月夜に舞う桜華




彼女がいれば、何も要らないとさえ思っていたあの頃。


「………桜姫が死んで、もう一年半、経つ」


俺達は、顔を歪め、拳を握りしめた。
自分の無力を嘆く。


「今の皇蘭は、もう桜姫の皇蘭じゃない」

「あぁ」


桜姫のいない皇蘭は、皇蘭じゃない。だから俺達は抜けた―――1人を除いて。


「願っても、桜姫は帰ってこないよな………」


ポツリと潤が呟く。


「いや………違う」

「司?」


瞬きを繰り返す三人に俺は、未確認だが、と続ける。


「桜姫が…………生きているかもしれない」

「「「!!??」」」

「さっき入った情報だ」


俺も混乱している。


「ほ……本当か……?」

「桜姫が……」

「生きている………!!」



混乱しながら俺を含め歓喜に震える。