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パチン、パチンと携帯を開けしめの音がする。それは、苛立っているようにも聞こえた。
「――――――司」
ザリッと砂を踏む音と共に名前を呼ばれて顔をあげれば、同じような表情をしている仲間が来た。
「久しぶりだな」
「あぁ……呼び出してどうした?」
俺は、携帯をズボンのポケットにしまい直す。
「なぁ、雅紀、智詩、潤……覚えてるか?あの人の事」
聞けば、皆愚問だと鼻で笑った。
「勿論………1日も忘れたことないさ」
「俺等にはあの人が全てだったもんなぁ………」
雅紀の声に震えが生じる。
皆の脳裏に浮かぶのは、綺麗な桜。
その中をまるで舞うかのように敵をなぎ倒す、姫。


