月夜に舞う桜華




(………鈍った……?)


愕然としているうちに朔夜が歩き出す。


ハッと我にかえって、その場に踏ん張った。


「ちょっと!」

「ここは、雅龍の本部だ」

「はぁ!?」

「お前が女では初めて」


肩越しに笑みを向けられるけど、とんでもない!!
なんで今更、暴走族の溜まり場に行かなきゃいけない!?
あたしはもう関わらないって決めたんだ!


てか、雅龍に用はない!


「行かない!離せっ」

「イヤ」

「離せ!」

「無理」

「っ」


くそ野郎っ


このままじゃ埒があかない。
踏ん張っていてもズルズルと引きづられている。


(…………仕方ない)


この手は使いたくなかったけど、とあたしは一つ深呼吸をした。