月夜に舞う桜華




段々大きく鮮明になっていく二人の様子。


突然、あいつが立ち上がった。
それに続いてゆっくりと椿が立ち上がり――――俺は、息をすることを忘れた。
足は、止まるとこなく進む。


なんだ、あれは。
椿の腰に、生えたあの、赤く染まったものは。


瞬きをひとつする度にスローに場面が変わっていく。
立ち上がろうとした椿は、前屈みになり、あいつを見上げ、息を詰める。
そして下腹部を押さえながら―――ゆっくり地面に倒れた。


(嘘、だろ……?)


思わず目を疑う。
しかし、目の前の光景は、変わらない。


「つ、ばき」


喉が乾いて声がカラカラに掠れている。
声よ、出ろ。


力なく地面に倒れている椿に、俺は渾身の力を振り絞り声を出した。