月夜に舞う桜華




それから医師と幾つか話をして、看護師と出ていく。
二人きりに戻った病室で朔夜は、椅子に腰掛けると深い溜め息を吐いた。


「朔夜」

「俺の寿命縮んだ」


ギロリと睨まれる。
乾いた笑みを返せば、頬を摘ままれた。
痛い。一応怪我人。


「馬鹿なことしやがって」

「………」

「あの時は、本当に心臓止まるかと思った………。」


はぁ、とまた溜め息を一つ。


あたしは、今動ける最大の範囲で身動ぎをして朔夜に注目させる。


聞きたいことが、あった。


「………和、は?」


ピクリと朔夜の指が動いた。


「…………」

「…………」

「………あいつは、死んだ」

「………」


やっぱり、と思った。


和が………死んだ。


「そう……」


不思議と涙は出てこない。