「っ」


痛い、て目で訴えれば当たり前だと返された。
頬に、冷たいものが落ちてきた気がしたのは決して気のせいではないだろう。


「心配させるな」


朔夜は、ナースコールを押しながら小言を言ってくる。


「………」

「元気になったら、覚えとけよ」

「何、」

「後からのお楽しみだな」


にっこりと効果音まで付きそうなその笑顔に、あたしは元気になりたくないなと本気で思ってしまった。


ナースコールに呼ばれて、看護師と医師が入ってきたので一旦会話を中断させる。


「気分はどうですか?」

「………普通」

「痛みは?」

「動けば、少し………」


実を言えば筋一本動かす度に下腹部に激痛が走る。
その痛みにあたしは生きているんだと実感する。