「早く終わりにしようぜ」
「お前が負けを認めればいい」
「負けを、ねぇ―…」
眉間から鼻先を伝う血をペロッと和は舐めるとニヤリと笑う。
ハッと後ろの気配に気づいたのと羽交い締めにされたのはほぼ同時。
「グッ……?!」
「雷心ナイス」
「っ」
目だけで確認しようとすれば、呆れたような声が上から降ってくる。
「―――みてらんねぇよな」
その声は、雷心のもの。
「中々手強くてなぁ」
「皇蘭の、俺のボスがボロボロなのはじめてみるよ」
「ハハッ」
そうかも、と和の表情は勝ち誇ったものだ。
あたしは、もがいて雷心から抜け出そうとしたが、如何せん力が出ない。
「本当に強いな、桜姫は」
雷心が感心したように溢す。


