「そろそろ限界?」



体育座りで携帯をいじっている透に声をかけられる。


そういや……交換条件付きでなんとかしたるって言っとったっけ?


交換条件……ってなんや?


今の俺には少なくともこれ以上の悪環境は考えられへんかった。



「限界……かもしれへん」


そう口にすると一気に肩が重くなる……愛情の重圧……今までチャラチャラしとった分のツケが来たんや、そう思った。




「あの子に帰ってもらったらええんやろ?簡単やけど」


「マジで?頼むわ!!!」


「その代わりこっちの頼みも聞いてな?」


「礼やったら何でもするわ」



透の口元がにやっと笑う。王子フェイスには似合わない不適な笑い……。



「その言葉忘れんなよ?」



たんっと階段から降りるとまっすぐ透は亜美の方へ歩いて行った。