【短編】初恋物語-缶コーヒー-




「なぁ、昂はなんで桃香が好きになったの?

理由とかきっかけは?」


体育の時間、野球を見ながら拓哉が聞く。


時間の関係で3回でゲームセットになる試合は現在2回表。


6対2でリードしていた。


「あ〜…三振。

…なんか言ったか?」


チームメイトの打席に見入っていた昂一が聞き返した。


「だから!

桃香を好きになった理由は?」


拓哉の言葉に昂一が顔をしかめて…

しばらく黙った後にぼそっと言った。


「呼び捨てにすんな(笑)

さぁ…

よくわかんねぇけど…


気付いたら桃以外の女に興味がなかった」


「…おまえそれ病気じゃねぇ?」


バカにするように言う拓哉に

昂一が苦笑いして…

「かもな(笑)」

ともらした。



好きなのに告白もしないで

他の女に興味も持たずに
ただ『桃香』だけを想う昂一は…


はっきり言って拓哉には異常に見えた。


「昂はつらくなんねぇの?

告白できないなら好きでいたって意味ないじゃん」


よほど昂一の片思いが不思議なのか

目をキラキラさせながら聞いてくる拓哉に

昂一が顔をゆがめた。


そして大きなため息をつく。


「…そんな簡単に止められるなら

とっくに他いってるよ。

…次オレだ」


昂一がヘルメットとバット片手に立ち上がり

ネクストバッターサークルにしゃがんだ。



あのクールな昂がそこまで1人に熱くなるなんてありえんのかな…


大体きっかけはなんなんだよ。


どうゆう時に好きになんの?


「拓哉〜」


呼びかけられて振り向くと数人の女の姿があって…

笑顔を作って手を振った。


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