拓哉は加藤家の次男で

長男は今大学に通っている。


拓哉とは違い、出来のいい長男は
父親にも気に入られていて

ゆくゆくは父親と同じ道を歩くだろうと
教育委員会からも有望視されているほどだった。


長男自身もそのことを迷惑がってる様子もない。


一方の拓哉は

常に長男と比べられてきたせいか、
素直だった性格も今ではすっかりひねくれてしまい…

ケンカもすれば女遊びもひどく
授業すらあまり顔を出さない。


それでも試験の成績はよく…


はっきり言って教師達も持て余していたものの
誰も拓哉に注意できずにいた。


このまま穏便に卒業してくれるのを
願うだけで…




そんな中で育った拓哉は

親に褒められた事もなければ
しかられたこともない。


ただ呆れられてきただけ。


周りの大人も

教師ですら何も言わずに見てみぬふり。


お金にも外見にも恵まれているし、
別に自分を不幸だとは思った事はなかったが

どんなに遊びまわっても
女と一緒に過ごしても…

拓哉の中から『孤独感』が消えることはなかった。



.