「別に待ってなんかないもん」


上原が口にした言葉は
明らかに生徒に話すような口調じゃない。


…同僚の教師に話す言葉でもない。


「ふぅん(笑)

じゃあこれは?」


そう笑いながら賀川が
冷蔵庫からブラックの缶コーヒーを
取り出して見せた。


「オレが飲むから置いてあるんだろ?

芽衣はブラック飲めないじゃん」










賀川の言葉がショックだったのか…



賀川が『芽衣』と上原の名前を呼び捨てにしたのがショックだったのか…








2本の缶コーヒーを持ったまま…



拓哉の時間が止まっていた。











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