上原の言葉に何も返事はしなかった。


正直に言えば出来なかった。



上手く声が出せる自身がなかった。



寝たふりをして…

聞こえなかったふりをして保健室を後にした。



まだ授業中の教室には戻りづらくて屋上に向かう。



まだまだ熱い太陽の日差しが拓哉を向かい入れた。






たった一言なのに


上原の言葉が


拓哉の心を軽くしていた。



相談したわけでも

解決策が見つかったわけでもない。


多分…

自分が抱えるものに解決策なんかないのもわかっていた。



でも


今までとは違う開放感があった。



今まで何人もの女と一緒に居ても

感じることのなかった開放感と充実感が…



たった1人に満たされた。




「センセー…


やばいって…」



にやける顔を隠しながら

拓哉が空を見上げた。




空一面に広がる青空は

どこまでも青くて…


拓哉が笑みをこぼした。



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