余裕のある表情を浮かべながら…
でも声が少し震えていた。
初めての告白。
『告白』と呼べるのかもよくわからない。
『好きだ』とか『どう思ってる?』とか
そんな事よりも
上原を自分のものにしたくて…
『付き合って』
その言葉が先に出た。
しばらく拓哉を見つめていた上原が
小さくため息をつく。
「だから、恋愛は生徒同士でしなさい。
あんまりからかうと担任に言いつけるわよ」
拓哉の言葉を上原は冗談にしか思っていなくて…
そんな上原を拓哉が睨みつけて…
ドアを勢いよく閉めた。
「くそっ…」
今まで女が思い通りにならなかったことなんかなかった。
自分が女相手に何かを望んだこともなかったけど…
拓哉が何か頼めば笑顔で返事をしてくれたし
甘い言葉を言えば頬を赤くして恥ずかしそうに笑う。
それが当たり前だったのに…
上原は…
そんな拓哉の当たり前を崩していく。
今まで知らなかった自分を露にする。
今まで楽しくやってきたのに…
『好き』
その感情が
自分の世界を狭くしてしまったような…
変な気分だった。
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