「じゃあさ…」
突然近くから聞こえた声に
上原の体がすくむ。
「オレが悩んでるって言ったら
相談に乗ってくれんの?」
拓哉に背中を向けたまましばらく動かなかった上原が…
ゆっくりと振り向いて拓哉を見上げた。
「もちろん。
もし本当に何かを抱えてるなら…
話して?
加藤君の力になれるかわからないけど…
一緒に考えたい…」
話している間、
上原の目は一度も逸らされることなく拓哉を見つめていた。
…―――ドクンッ
血管が波立つのを感じるほどに…
拓哉の心臓が大きく動き出す。
「……?」
今まで感じたことのない心臓の動きに
拓哉が自分の胸を押さえると
上原が不思議そうに覗き込んだ。
「…加藤君?
気分でも悪い?」
拓哉自身不思議に思いながら
視線を自分の胸から上原に戻した瞬間…
体中の血が騒ぎ出した。
なんだ…?
これ…
早くなる鼓動を感じながら
拓哉が上原から目を逸らせずにいた。
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