上原に貼られたシップが

拓哉の膝の痛みを和らげていく。


「サンキュ」


「仕事だから」


拓哉の周りにいる女なら
間違いなく顔を赤らめるような笑顔でお礼を言った拓哉に

上原がそっけなく答える。


いつもなら特別扱いされるはずの自分に
全く取り付こうとしない上原に

拓哉が少し興味を持ち始める。


「センセーって何で教師になったの?」


予想外の真面目な質問に

上原が少し戸惑った様子で答える。


「…中学生とかって悩みの多い時期でしょ?

ありきたりだけど…

悩んでる子の役に立ちたかったからかな」


そう語る上原の顔は少し微笑んでいて…


初めて見る上原の顔に
拓哉が見入りながら声を出した。


「へぇ…」


でもその笑顔は拓哉の言葉を聞いた途端に消えてしまって…


「もう終わったから授業に戻りなさい」


急に冷たくなった上原に
拓哉が少しむっとして…

シップを薬品棚に戻す上原の後ろにそぉっと回り込んだ。


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