誰とでも話すし
誰とでも遊ぶし
誰とでもキスする。
誘われればそれ以上も…
心なんか置き去りに体が反応する。
甘えてくる女や恥ずかしそうにする女を可愛いとは思う。
でも…
それが『好き』…?
そんな事に頭を悩ませていた時
金属バットのいい音がした。
目を移すと昂一が1塁を蹴ったところだった。
昂一の走塁に慌てたライトが力任せに1塁に送球して…
「いぃっ…て!!」
ワンバンしたボールが拓哉の膝にぶつかった。
幸い軟球だったもののなかなかの衝撃に
拓哉が膝を抱える。
「大丈夫か?」
チームメイトの言葉になんとか笑顔を返す。
「大丈夫じゃない(笑)
…保健室行ってくるな。
次のバッター、オレだけど適当に回して」
それだけ言うと拓哉が足を引きずりながら歩き出した。
打球じゃなくてよかった…
打球だったら膝割れてたかもなぁ…
少し苦笑いを浮かべながら
拓哉が校舎に入る。
授業中の廊下は誰も居なくて気持ちがよかったが
足の痛みがそんな感情を奪っていく。
「センセー?」
上原を呼びながら拓哉が保健室のドアを開けると
机に向かっていた上原が視線を拓哉に移す。
そして拓哉の姿を確認すると顔をゆがめた。
「さぼり?」
「違うよ(笑)
真面目に体育してたら怪我したの。
シップ貼ってよ」
そう言いながら足を引きずる拓哉に
上原が少し疑いながら薬品棚からシップを取り出した。
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