「よろしければあなたの名前もお伺いしたいです。」
彼は私の表情を伺うように尋ねた。
低姿勢な人だな。
名前、向こうが言ったんだから私も返すべきだよね・・・。
「中川ゆりなです。」
私はへこっと、軽く頭を下げた。
「中川ゆりなさん・・・。」
彼は私の名前をおうむ返しした。
お、おう、って感じだ。
「中川さん、ですね。」
わあ、私もこんな呼ばれ方慣れてないよ。
バイト先でもゆりなさんなのに。
学生時代の一コマかっつの。
いや、学生時代も中川ー、って呼ぶ先生多かったな。
女の先生からはゆりなさんだったし。
ていうかジュンくんはいくつなんだろう。
こんな綺麗な敬語つかって、
名前もさんづけで。
「そういえば、
ジュンくんはいくつなんですか?」
「あ、そういえば年齢言ってませんでした。」
は、と我にかえったように言った。
そして微笑んだ。
この笑顔は神の領域だな。
「あ、ちなみに私は18で、
今年19です。」
つい、笑顔にくらっときて自分から言ってしまった。
すると彼は目を見開いた。
「お、同い年です。」
ジュンくんは驚いたのか、口元を抑えて入る。
え、なんだその反応。
私、年相応に見えないってか。
天然失礼さんだな、ジュンくんは。
「私、18に見えませんか?」
思わず、低い声が出そうになったが押さえた。
「は、はい、
すごく大人っぽいなと・・・。」
なんだか小さい声で言っている。
それ、遠回しに老けてるって言ってるんだよ。
けど悪意がなさそうだから許そう。
にしても驚きすぎでしょ。
「同い年なら敬語じゃなくても・・・。」
結構ジュンくんの敬語はかたいからな。
「はい。
あ、じゃなくて、わかった。」
ジュンくんは敬語を使ったことにはにかんだ。
・・・仕草がいちいち可愛い。
ふふ、と微笑ましい気持ちになった。

