「・・・いいから」
目を閉じると、瞳にたまっていた涙が一粒、二粒、ホロホロと落ちていく。
・・・?
「・・・嘘は、いいから。」
俺は思わずびくりと、指先が震えた。
何、言ってんだ。
「本当に好きだ・・・」
俺はもう一度言う。
この思いが、溢れて止まらない。
こんな感情は初めてで、なんだか俺まで涙腺が緩む。
ゆりながまた目を開けて、
息を吐く。
「・・・あんた、
実は優しいのね・・・。
そしてとっても嘘が上手・・・。」
ふふ、と少しゆりなが笑う。
俺はその儚げな表情が、
なんだか気を揺すぶられた。
「・・・俺は嘘をつかない。」
「出会った当初、人間て嘘ついてたくせに?」
「それとこれとは・・・「もういいって。」
ゆりなは俺の言葉を遮る。
「一時だけでも、爽哉のこと忘れさせてよ・・・。
好きとか、いらない、そんなんで私は元気になれない。
気持ちよくしてくれるだけでいいよ・・・」
そう言ってゆりなは目を閉じる。
決意を固めたように。
さっきまで彼女は肩の力が入っていたのに、今はもうその力は抜けていた。
ゆりなは自暴自棄なってんだ。
内田爽哉を失って、パニックになって、
頭なんて働いてなくて、
精神的に疲れてる。
だからこんな敵のやつに抱かれる、ってなっても受け入れてしまっている。
俺もゆりなの弱さに漬け込んで、こんなことしてる。
ゆりなのためなら、どんな男にだってなってやる。
内田を忘れさせる道具になるのだって、問題ない。
ヴァンパイアとして、
血の器でしかない人間に触れるなんてきっとミラに止められる。
けど、そんなヴァンパイアとしてのプライドとかいらねぇ。
魔界に戻って受け入れてもらえなくても
俺も、覚悟を決めた。
「・・・得意分野だ」
そう言って俺はゆりなの唇を塞いだ。
何度も何度も角度を変えて。
啄むように。
あぁ、好きだ、
愛してる。
言葉が出てくる。
ダメだ、
「好きって言わせろ・・・。」
唇を離す合間に言う。
「だから、いらないって・・・!」
「俺が言いたいだけ、いいだろ?」
そう言って俺はまた唇を塞いで。
「好きだ・・・本当に・・・」
そして俺は何度も何ども、首筋のいたる箇所に口づけを落としていった。
そして夜は更けた。

