風呂上がりに靴を吐くのは気が引けたので裸足で歩く。
後でスリッパでも貰おうか。
いや、今頼むか。
なんて部屋に入る前にヤツの部屋をノックしようと思った瞬間であった。
拳を扉に叩きつけよう、そんなまさにそのとき。
ガチャ!
うわあ、
私はいきなり空いたドアに身体を一歩退けた。
目の前にいるヤツ。
・・・あれ、
なんか様子おかしいな。
・・・ちょっと、
おかしい。
目は飢えている赤い瞳ではないが、
紫色の目を見開かせている。
・・・何・・・?
「何か・・・きゃ・・・!」
何かありましたか?
そんな風に言おうとした言葉が反射的に出た声で遮られた。
だって、急に手首を掴まれたから。
え、なに、なに・・・?
そのままグッと引っ張られ、ヤツの部屋に入り込んでしまった。
え、なに、なに・・・???
ヤツの香りが鼻を掠める。
ガチャリ、
そんな風な不吉な音がした。
か、ぎ?
鍵、しめた?
え、何で。
どうして、鍵を閉めたの・・・?
怖い、嫌な予感しかしない・・・。
私は後ずさる。
すると足首に行き止まりを感じた。
私がえ、と後ろの足をとめた何かを確認しようとしたとき。
肩に強い感触。
押された。
背中に弾力を感じた。
ベット・・・?
いや、ベットにしては狭い。
ソファーだ。
・・・押し倒された・・・?
え?なんで。
やだやだやだやだ。
なんか、目は飢えていないし、
命の危機はかんじないけれど、
なんか、なんか、なんか嫌な予感。
何、何なの・・・?

