ネットはもうあって、ボールも出ている。

 とりあえず自主練。

 暖姫がボールを取って、桜とパス練習。

 十回ぐらい続いたところで、暖姫が突然ボールを取った。

 そのまま桜のもとへ走り、

「桜後ろ。」

 振り返れば、希欧とはとりの姿が。


 
 桜は走る。

 暖姫も追いかける。

 謝るんだ、謝るんだ。

「希欧。」

 希欧の正面に桜が立ってても、何も反応はない。

 むしろ、はとりとしゃべっている。

「ねえ、希欧。」

 暖姫は少し大きな声で呼びかける。