そうだよな。 願いを叶えてくれるバーなんて、そんなもの、あるわけない。 気負って来たが、拍子抜けすると同時に気持ちがすっと軽くなった。 いくぶんかリラックスして、グラスに口をつける。 ほど良いアルコールが、緊張をさらにほぐしてくれた。 「初めての、ご来店ですね」 女バーテンダーが話しかけてきた。 「はい、雰囲気のいいバーですね」 と褒めると、うれしそうに微笑んで会釈をした。