このまま部屋でじっとしていたら、気が滅入る一方だ。 俺は気合いを入れるためにクローゼットからスーツを引っ張り出した。 前に雑誌の取材で着たときに気に入って買い取った、わりと高級なスーツ。 プライベートではなかなか着る機会がなかったけど、ようやく出番だ。 沈み気味な気持ちを押さえ込んで、俺は街へ繰り出すことにした。 行き先は…― 「ま、とりあえず表参道か原宿あたりだろ」