「何、莱。」
沸き上がる不安を押し殺し、笑顔で莱に問い掛ける。そんなあたしの横に腰掛け、莱は前方を見据えながら、言った。
「俺、ROSAに入ろうと思うんだ。」
強く、はっきり。
揺るぎない自身の決意を、あたしにぶつけるように。
「……何、で?」
やっとのことで紡いだあたしの問いは、情けないほどに震えた。しかも、何で?だなんて。答えがわかりきった問いを返すなんて、それほどあたしには余裕がないらしい。
「うん。俺、美凪サンの力になりたい。」
美凪さんの、力……?
「ここに来て、美凪サン達にはお世話になっただろ。その分俺も、あの人達に恩返ししたい。」
それは……、
それは、違うでしょ莱。
恩返ししたいとかお世話になったとか、それは全部を否定はしないけれど。
あたし達がこんな目にあってるのだって、あの人達が抗争をしているからなんだよ。
お世話になったのは、確か。
でも莱が、ROSAに入る理由にはならない。
それは莱も、わかってるくせに。