そして先生が言っていたように、正確な時間はわからないけど、確かにまもなくして外からの轟音は途絶えた。

でも誰も、シェルターから出ようとはしない。さっきの光景が目に焼き付いて、きっと怖がっているんだろうな……

あたしがそう思った刹那、裏の勝手口が音もなく静かに開いた。

――そして、


「大丈夫ですかっ!?」


勢いよくシェルター内に入ってきた若い女の人と、その後ろに続く若い男の人。

敵じゃない…っていうのは何となくその雰囲気で感じたけれど、見知らぬその2人に安堵なんて感じる訳がなくて。

ぎゅっと莱の腕を強く掴めば、その上に莱の手が優しく重ねられた。


「あなたは、確か……」

「はい。ROSAの高瀬美凪です。」


高瀬美凪……
あぁ、名前は聞いたことがあるじゃん。

隣町の、大きな組織の女ボス。
両親を亡くしてまもなく、若くして大組織のボスに就任したのだと、誰かが言っていた気がする。

その人が先生と会話している様子を、ただ、莱の後ろから見ていた。