しばらくそんなふうに考え、夕陽が反射する川を静かに眺めて過ごした。
ゆらゆら揺れる水面に、いびつな夕陽が浮かぶ。その様子を見ているうちに、ほんの少しだけ心細くなってきた。
そんなあたしが思い出すのは、莱のこと。
莱はあたしを、信じてくれるだろうか。
今現在、施設に戻っていないあたしを、心配してくれているのだろうか。
…――莱に、会いたい。
勝手に飛び出して来たくせに、なんて身勝手な思考なんだろう。それでも何故か無性に、莱に会いたくなってきて。今度はさっきとは違う意味で、涙が溢れてきた。
刹那、
「……芽梨。やっと、見つけた。」
まるで何かのドラマのように、背後から聞こえた声。振り向かなくたって、これが誰の声かなんてあたしにはわかる。
「…――っ、莱っ!」
優しい表情であたしの隣に腰掛けた莱に、あたしは思い切り抱き着いた。


