「芽梨ちゃん。理由がどうあれ、怪我をさせてしまったのは芽梨ちゃんよ。だから、相手の男の子に謝っていらっしゃい。」

「でも先生、芽梨は悪くないもん。」

「先生は、芽梨ちゃんのために言っているのよ。」


何が、芽梨ちゃんのために、だ。
あたしのためなら、あたしのことを信じてよ。

怪我をさせてしまったのは確かだけど、いじめを止めようとしたことを、悪いのがあたしだけではないということを、わかってほしいだけなのに。


「………もういい。」

「え?」

「もう先生なんか知らないもんっ!
先生なんて大嫌い!
こんな施設、出ていってやるんだから!」


わからずやな先生なんて、大嫌い。

悔しくて零れそうな涙を必死に堪え、あたしは施設を飛び出した。