君色デイズ

「…否定はしませんが、景雅様のわがままには慣れてますから。おまけにあたしには拒否権が存在しないようですので。…だから、大丈夫です。」


そうあたしが言い終わるや否や、ははっと短く笑う景雅様。何が面白かったかよくわからないけど、


「相変わらずおもしれぇ女だな。」

「褒め言葉として受け取っておきます。」


笑ってくれたならいっかとか思ってしまうあたり、あたしも相当景雅様に甘くなってる。そういや、紗彩様と一万円札事件の日にもこんなふうに言われた気がするななんて、それほど昔のことでもないのに懐かしくなった。

あの頃は景雅様にこんな気持ちを抱くなんて思わなかったと、不意に思って哀しくなった。


「…なぁ。」


そんなあたしの思考は再び景雅様の声に中断される。
静寂の中、景雅様の声がやけに響く。


「好きだ。」