「でも、景雅様…、」

「よし、次はここだ。」


だけど、そんなあたしの葛藤も、景雅様が立ち止まった店を確認した刹那、一気に吹き飛んでしまって。


「……ここ、女物のお店ですよ?」

「知ってるよ。」


いやいやいや、知ってるよじゃなくて!
何も躊躇うことなく店の中に入っていく彼を追えば、やはり店内は高貴な女性たちがたくさんおり、自分が場違いなような気がしてならない。


「景雅様?紗彩様への贈り物ですか…?」

「…これより、こっちだな。」

「って、何であたしに合わせてるんですか!」


あたしの話なんて全く聞く耳持たずな景雅様は、黙々とあたしに合わせながら服を選んでいる。
そして水色の薄手の生地に小花がちりばめられたワンピースをあたしに合わせ、にこりと微笑んだ。