「何でしょう?」

「ずいぶん若いみたいだけど、おいくつなの?」


あたしのことなんか聞いて、このお嬢様はどうする気なんだろう。
全く彼女の真意は読めなかったけれど、不審さを表面に出さないように答える。


「17歳ですが。」

「……学校はどうなさったの?」


あ、もしかして……。
この子が使用人たちの中で嫌われる理由、何となくわかったかも。


「都合により辞めました。」


この子はきっと、何においても相手より優位な立場でいたいのだ。そのためには、人前で簡単に人を蹴落とすことができる子。案の定、彼女はあたしの答えを聞いて小さな笑みをこぼす。


「そう…。あなた、お金のために働いているのね。」


違う、とは言い切れないけれど。くすくすと聞こえてくるような笑みが癇に障る。立ち上がり、長い髪をなびかせながら、紗彩様はあたしの目の前に来た。