「兄さまが苛めるー!」
「寧ろ兄さまは呆れてる!」
「が、頑張った結果なんですって! 前は12て「12?! 百点満点中12点か?!」うう…、漢字より数字とお友達になったみたいで」
算数はいつも高得点なんですよ。百点ですし。
ぼそぼそっと呟く那智に、「てめぇって奴は」ガックシと俺は項垂れた。
「問三“さいばん”を漢字で書けって問題。てめぇ…“栽判”って…、“裁判”だろうが」
「ニアピンだと思います! 衣か木かの違いですもの!」
「……。問十二“治安”の読み方。“はるやす”?」
「だって兄さまのお名前が使われてましたよ? 治樹の“はる”でしょ? それ」
「……。問五十“血管”の読み方。“ちかん”。おまっ、最悪だぞ、これ!」
「まんま読んだだけです。血は“ち”って読みますし、試験管の管は“かん”って読みますから、てっきり“ちかん”だと」
そしたら大きくピンされちゃったんですよね。
「漢字は難しいです」
腕を組む那智の隣で、俺はどーんと落ち込んでいた。
此処まで阿呆だったっけ、俺の弟。
何をどうしたらこうなってそうなった。
こりゃもう家庭環境のせいじゃない。
根本的に那智は国語が弱いんだ。
俺がしっかり面倒看てなかったせいか、これ。
嗚呼、此処まで酷いと、俺の育て方に問題があったのかって、寧ろ不安を覚える。覚えるぞ。



