ふたりぼっち兄弟 〜No.±0〜【BL寄り】


九時過ぎた時計を見やり、何とか間に合ったと安堵の息をつく。
同時にきゅるるる…、腹の虫が聞こえてきた。俺じゃなく、それは那智の腹の虫。

どうやらドタバタと行動を起こしたせいで空腹感に襲われているらしい。


「ううっ…聞かなかったことにして下さい」


羞恥心を抱く那智は頬を紅潮させ、誤魔化すように勉強道具を取りにランドセルが放置してある壁際に歩む。

ランドセルは俺のお古、んでもって俺は母親から貰ってきた誰かさんのお古を使わされていたから、随分傷んでいる。

あいつが真新しいランドセルなんて買ってくれるわけ無いとは知っているけど…、那智には新しいランドセルを買ってやって欲しかったな。


「兄さま、お勉強教えてく「ぎゅるるる」ううっ、おれのお腹の馬鹿」


盛大の腹の虫に、那智はボッと顔を赤くする。

俺は失笑を零した。

那智、ほんとに腹減ってるんだろうな…、ひもじい思い、してるんだろうな。


「那智、コンビニに行って来ようか?」

「え、い、いいです。我慢できますもん。
それに兄さまに、また万引きさせるにはいきません。やるなら、おれがやります」


「バーカ。那智はとろいだろ?」

「それを言われたら返すお言葉もないですけど…、ばれたら兄さまが叩かれちゃいますし。もう九時です。言い付けは守らないと…。
大丈夫、おれ、ヘッチャラですよ! こんなに日用茶飯事ですから!」

「日常茶飯事」


「それです! この状況は万事休すなのです!」

「……。そりゃ万策尽きるって意味だぞ、那智」


那智はうーんっと首を捻り、ポンッと手を叩く。