俺が目が覚めても那智は眠りに就いていた。
空腹を忘れるように眠りに就いている那智の頭を撫でた後、俺は通学鞄から筆記用具を取り出して勉強を開始。
不運な環境だから学力が低い、そんな風に思われるのは癪だった。
那智にもそういった意味では勉強を疎かにさせたくない。こんな環境でも学力はつくんだって教えたかった。
家庭環境を言い訳に学力不足を口にするなんて惨めじゃねえか。
一頻り勉強をした後は適度に筋トレして、体動かして。
時計に目を向け、そろそろ那智を起こさないといけない刻になったから、「起きろ」俺は那智を起こすことにした。
上体を起こして目を擦る那智は欠伸を一つ零し、まだ寝ていたいと申し出るけど、
「那智。もう八時だ。急いでシャワー浴びて、手洗い済ませて、水を確保しておかないと…、九時になる」
「え…もうそんな時間ですか? よく寝てたぁ」
くわぁーっと欠伸を零し、那智は頬を叩いて目を覚まそうと努力していた。
俺等兄弟は夜九時以降、自室以外の部屋に入ることを禁じられている。
それはガキの頃からの言い付け。破ればまた、母親の苛めの対象になりかねない。
急いで俺は那智と一緒に浴室に入り、シャワーを浴びて、ンでもって床に落ちた髪の毛その他等のゴミを取って(これしねぇと母親が煩いんだ)、着替えた後は風呂を掃除。
母親のために湯を張って、浴室を退散。
水の確保や用を足すなど用事を済ませて、俺等は時間ギリギリに自室に駆け込んだ。
母親が外出しているとはいえ、ばれたら一大事。
こうやって安全策を取るのが一番なんだ。



