既に高1に進学している俺は容易に母親を伸すほどの体躯を持っていた。
身長も170前後、まだまだ伸び盛り。
筋トレを続けていたおかげで、しかも中学時代は不良と隠れてつるんでいたおかげで(喧嘩してもっと強くなろうって思ったから)、かんなり腕っ節には自信がある。
あいつを伸すことくらい造作も無い。
でもまだ…、まだだ。
完全にあいつと親父から自由をもぎ取るには、まだ努力が足りない。
俺は隣に寝転ぶ那智に流し目。
今年で小四になる那智は、幼少と変わらず俺を愛し続けてくれている。
何があっても、どんなことがあっても、俺を信じて傍にいてくれる愛しい片割れだ。
こいつがいるから俺は強くなれた。
ごろんっと寝返りを打って那智を抱き込む。
「腹減ってねぇ?」俺の問い掛けに、
「兄さまこそ」那智は俺を気遣い、大丈夫かと声を掛けてきた。
正直腹の足しにもならなかったけど我慢できる。
俺は那智の肩口に頬を寄せ、小さく綻んだ。
「那智はいつ抱き締めてもあったけぇな。誰よりもあったけぇ」
「にーさまもあったかいですよ」
ガラスのような黒い瞳を俺に向ける弟。俺の片割れ。血を分けた唯一の兄弟。
愛情に飢えている俺は那智にいつものように魔法を掛ける。



