絶対に俺等は幸せになる。
近所の奴等でさえ見捨てた俺等だけど、絶対に手前の力で幸せになってやる。


「あいしてる、那智。兄さまは那智をあいしてるからな」



誰よりも自由になってやるんだ。






そのために、今は我慢だ。






俺は那智を寝かし付かせた後、涙を拭って自室を出た。

リビングに入り、母さんがいないことを確認。
ソファーの上で寛いでいる母さんの新しい恋人に声を掛け、「弟を苛めるのは止めて下さい」願い申し入れる。



「弟はまだ小さい、過度な暴行には耐えられません。

その代わり、俺が弟の代役になりますから…、弟には一切手を出さないで下さい。
どんなことでも俺なら、耐え抜く自信があります」



向こうの驚愕、そしてシニカルに笑う厭らしい顔に目を伏せ、俺は我慢だと言い聞かせた。



俺達が幸せになるために、少しだけの我慢。




ダイジョーブ。


俺等が幸せになるために、少しだけ、我慢をすればいいだけの話なんだ。




⇒二章