まったく熱の下がらない那智を自室に置いて、俺はそろそろいちゃこらが終わっているであろう母さんのところに足を運ぶ。
単なる風邪かどうか分からないけど、とにかく母さんに風邪薬をもらわないと。
廊下をトボトボと歩いて、リビングに繋がる扉に手を掛ける。
「芙美子、あのガキ、放置しても大丈夫だったのか?
朝から散々苛めちまったけど、さっすがに放置は罪悪感かも。
昨日も苛めた俺が言うことじゃないけどよ」
「いいんだよ。兄貴がどうにかするだろうしな」
ピタッとドアノブに手を掛ける動きが止まる。
ガラス戸になっている扉の向こう、母さんは恋人とソファーで寄り添い、テレビを観ている。
「大体ガキなんて産むもんじゃねぇよな。
今は兄貴の方が使えるくらいのデカさになってっからいいけど、弟は小せぇからウザイのなんのって」
「母親の発言じゃねえな」
「弟がなー、甘えたでムカつくんだよ。
いっそコロッと逝ってくんねぇかな。病死とか」



