火傷してたけど、恐る恐る心配を口にしてきてくれる那智。
弟の心配が何よりも特効薬だと思う。
「大丈夫」俺は見栄を張って、患部を叩いてみせる。
……ちょっぴり痛かったけど、嘘、結構痛かったけど表情には出さなかった。
「那智は大丈夫だったか? あの後、母さんに叩かれなかったか?」
「お母さんには別に。でも恋人さん…に、叩かれました。
他人なのにどうして叩くんでしょーね?」
「さあ…、兄さまにも分からない。大丈夫か、怪我してないか?」
「ヘーキです」
ニッと笑う那智だけど、何処となく怖じを見せている。
嗚呼…、那智にこんな顔なんて似合わない。
早く…、早く、この家を出ないと、那智がもっと傷付く。
「もう少しの我慢だ、那智。
俺が大人になったら絶対、那智を連れて家を出るから。
いつかこの家を出て、二人で幸せに、のーんびり暮らそうな。
俺等、ずーっとずっとずっと一緒だぞ」
「はい、一緒です。兄さまと一緒」
「他人は信じちゃ駄目だぞ」
「はい、信じないよう頑張ります」
元気よく返事する那智をもっと笑顔にしたくて、俺は懐中電灯の明かりを頼りに指で影を作った。
「鳥さんだ」影で鳥の形を作れば、「わぁ!」那智は手を叩いて喜んだ。



