俺は那智を中に招き入れて扉を閉めた。
真っ暗な視界を晴らすために懐中電灯を点けて、那智からバスタオルの一枚を受け取る。
と、バスタオルとバスタオルの間からポロッと袋が出てきた。
拾って中身を確認、パッケージにはあんぱんって書かれている。
那智曰く、今日の夕飯らしい。自分の分を持ってきたのだと誇らしげに笑った。
「兄さまと半分こにしようと思って。一緒に食べましょー」
「那智…」
「一緒に食べると美味しいって、にーさまが教えてくれたから」
自分の夕飯でさえもこうやって俺と半分こだと笑ってくる片割れ。
今日の失態を咎める事無く、寧ろ罰を受けている俺の傍で過ごそうと寄り添ってくれる。
どうしようもなく幸せだ、どうしようもなく俺、幸せだ。
「ありがとな、那智。ほんとありがとう」
クシャリと頭を撫でる。
弟はただただ無邪気に、真摯に、純粋に笑っていた。
それは何もかもを許すような慈悲深い笑みだった。
二人で半分にしたあんぱんを平らげて、体を拭いたバスタオルを枕に、乾いバスタオルは布団代わりに、俺等は倉庫の中で寝転んだ。
湿った枕、次いで俺の体と服。
那智に寒い思いをさせてるんじゃないかって思ったけど、那智はピッタリと俺の腕の中に収まっていた。
「寒くないか?」
「兄さまがあったかいですもん」
「そっか? 俺は那智の方があったかいぞ」
「うふふ、おれも兄さまもあったかいんですね。一緒です、いっしょ。
あ、腕、大丈夫ですか?」



