コンコン―。
どれほど時間が経ったのか、不意に倉庫の扉がノックされた。
まさか母さんじゃ…、急いで懐中電灯の明かりを落とすと、引き戸式の扉に手を伸ばす。
同時にちょっとだけ扉が開けられた。
「兄さま? います?」
隙間から那智の顔がひょっこり。
「那智?!」
俺は扉を全開にして、どうしたのだと倉庫前に立っている那智に歩む。
こんなところにいては駄目じゃないか、部屋に戻らないと。
兄貴らしいことを言いつつも、俺は那智の出現に喜色を溢れさせていた。
片膝をついて、那智と視線を合わせる。那智の腕には大きなバスタオルが二枚、抱き締められていた。
もしかして俺のために…、那智を見つめれば、
「ちゃんと許可貰いました」
弟は胸に飛び込んできてぎゅうっと抱きついてくる。
「お母さんに、兄さまと一緒に寝ていい? って聞いたんです。
そしたら勝手にしろって。だからこっちに来ました」
「那智…てめぇ…、馬鹿だな。
こっちは寒いぞ。冷えるっつーのに。ほんと馬鹿だな」
馬鹿だ、繰り返して俺は弟の体を抱き締め返す。
「もう戻りたいって言っても無理だぞ」
部屋に戻してやらない。
俺の言葉に、
「兄さまといつも一緒」
那智はあどけなく笑いかけてきた。
泣きたいくらい嬉しかった。



