パチ―ッ。
「よし電池はあるな。懐中電灯、役に立ったな」
閉め切られた倉庫の中、俺は小型電灯を手中に収めていた。
倉庫で寝る経験は何度かある、だから俺はあらかじめ倉庫に懐中電灯を忍ばせておいたんだ。
今度こういうことがあったら、絶対必要だろうって。
もしも那智と倉庫で寝ることになったら必要不可欠に違いないからって。
家から勝手に盗んだものだけど、滅多な事じゃ使わないだろうし、母さんにもばれていない。安心して懐中電灯を使える。
経験上、母さんがこっちに様子見することもないだろうしな。
今日も恋人さんとお楽しみをするだろうし。
「腹減ったな…」
俺は不快で冷たい倉庫の壁に寄り掛かって、火傷に痛む腕を軽く撫でた。
痕にはならないと思うけど、暫く火傷に苦しむだろうな。皮が剥けてるし。
あ、肌が粟立ってる。
そりゃそうだよな。
夏近いとはいえ、夜は涼しい。
涼風が吹いているから、濡れている俺にとってこの涼しさは酷だ。
「那智は大丈夫かな。あいつ、母さんに蹴られてたけど」
膝を抱えて、そこに顔を埋める。
俺のせいで那智にイラナイ痛みを与えてしまった。大丈夫だろうか、憂慮を抱く。
何よりも…嗚呼、今日は那智と別々に寝ないといけないのか。
久しぶりにヒトリで寝ないといけない。孤独感が俺を支配する。薄暗い倉庫にいるからより一層…、恐い。
大丈夫、一日我慢すればまた那智に会える。
そうは思えど、ヒトリで暗闇にいることが恐くて怖くてこわくて。
俺は自分の失態と愚行を呪った。
何より、那智と一晩離れる。それが恐ろしかった。
こんなにも那智に依存してたのか、俺。
自分でも驚くほど、俺は那智を欲した。温もりを、優しさを、片割れを欲した。愛情を欲した。



