だけど母さんの腹の虫はおさまらない。
「邪魔だ!」那智を一蹴して、横に突き飛ばすと、俺の髪を掴んで「また逃げようとしたんじゃねえのか?」過去のことをほじくり返してくる。
「近所に助けを求めようとしたのか? それとも友達にか? なあ?」
「ち…ちが、クラスの奴等が勝手にッ」
ガンッ!
問答無用で頭を掴まれて床に叩き付けられる。
いってぇ…。
じんと広がる痛みに目を白黒させながら、俺は暴力に耐えた。
これ以上、那智にとばっちりを受けさせるわけにはいかないから。
この後、アツアツの熱湯を腕に掛けられて(悲鳴を上げずにはいられなかった)、風呂場に連れて行かれたと思ったら頭から水を掛けられて(全身ずぶ濡れ。服も何もかも)、庭に外に放り出された。
今日一日は家に入ることを禁じられたんだ。
倉庫があるからそこで過ごせ、なんて言われた。
多分ベランダだと周囲の目があるからだろう、わざわざ寝床に倉庫を指定してきた。飯は抜きだと。
幸いなことに季節は夏近い頃、冬よりかはあったかいから、一晩くらいどうにかなるだろう。
俺はろくに物も置かれてない薄暗い倉庫の中で一晩を過ごすことになった。
体は濡れたまま、着替えすらできず、小さな倉庫の中で。



