ふたりぼっち兄弟 〜No.±0〜【BL寄り】



結局、この騒動で五時限目は話し合いの時間を設けられたそうだ。

大暴れした俺は、気持ちが落ち着くまで保健室に待機。

落ち着いたら教室に戻って来いって言われたけど、落ち着いても俺は教室に戻らなかった。



他人に気遣う余裕も無かったんだ。

元々気遣いなんてしてないけど、今の俺は普段以上に余裕が無い。



放課後、騒動を起こした奴等が担任と共に謝りに来て、俺も半強制的に謝らされて事は終わった。


でも事件は此処で終わらない。

あいつ等はめでたし終わっても、俺は終わらなかったんだ。

寧ろ、これは序奏にしか過ぎない。




「治樹っ、学校から連絡があった。お前ッ、何してんだ!」


パンッ―!

家に帰宅するや否や、玄関で仁王立ちしていた母さんに平手打ちを食らった。

やっぱり担任が余計な事をしてくれたようで、騒動のことで自宅に連絡が入ったんだ。

何より面倒事を嫌う母さんは、俺が学校で騒動を起こしたことに腹を立て、こうやって首を長く帰りを待ってくれていた。いい迷惑だ、ほんと。


何度も俺を叩く母さんは、俺の腕を掴むと引き摺るようにリビングに連れ込んで殴る蹴るの暴行を繰り返す。


相当腹を立てたらしい。
 

そりゃそうだろうな、騒ぎが世間にばれれば(近所にはばれてるけど)、母さんの社会的地位が危うくなる。最悪逮捕される。

恐れているからこそ俺に腹を立てたんだ、騒動を起こした俺に。



「お、お母さん、もう許してあげて下さい。兄さまを許して」



二階にいた那智は騒ぎに気付いたらしく、リビングに入ってくるや俺と母さんの間に割って入る。

六つになった那智はすっかり言葉を上手く喋れるようになっていた。

敬語が板に付き始めて、今は誰に対しても大抵敬語で喋る。
相変わらず、俺のことは『兄さま』呼びだ。


「那智…」痛む体を起こして上体を起こす俺を余所に、「お願いです」もう許してあげてと懇願。

俺のために懇願してくれる。