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【リビングキッチンにて】
(PM12:07)
「おい、治樹。今日は夕方まで家に戻ってくるな。時間帯で言えば六時だ。六時。
適当に公園にでも行っとけ。
ああそうだ、牛乳が切れてるから帰りに買って来い。
買い方は教えたよな? 別の物買って来やがったら、分かってるな?」
痛い…、俺はぎゅっと顔を顰めた。
お母さんから容赦なく脇腹を抓られ、ぞんざいに命令される。
いつものことだけど、やっぱり痛いものは痛い。
抓られた場所も心も痛い。
だけど何か言えば、お母さんは手を上げてくる。
子供の俺でもソレは嫌ってほど分かってるから、
「はい…」
俺は弱々しく返事をするしかない。
逆らったらどうなるか分かってるし、家を追い出されたら、俺、行くところがないし。
お母さんに牛乳代と、昼食代(200円)を貰って俺はトボトボと家を出て行った。
今日こそはお母さん、一緒に昼食取ってくれると思ったんだけどな。
またヒトリでご飯食べないといけないなんて。
ヒトリと思うだけで涙が込み上げてくる。
「おかーさん、どうして…、俺、良い子にしてるのに。
おかーさんは、俺のこと嫌いなの?」
グズッと洟を啜って、俺は滲み出てくる涙をぼろっちい服の袖で拭いた。



