俺は那智だけしかイラナイ。
だから那智も俺だけをっ。
ふと俺は思いつく。
そうだ、那智に教えればいいんだ。
那智、今まで俺の教えは素直に聞いてきたんだし、言葉だってちゃんと教えれば覚えるし。
教えればいいんだ、那智に。
「なあ、那智」
「にいしゃ?」
「まだ分からなくてもいい。けど、よーく聞けよ」
キョトンとしながらおにぎりを頬張る那智はうんっと小さく頷く。
俺はそれを確かめて、那智に魔法を掛けた。
それは那智が俺から離れないための魔法。
「那智は兄さまが守ってやる。大丈夫。てめぇは何も心配しなくていいから」
だからな、那智。
俺を必要としてくれ。
俺を愛してくれるの、好きだっつってくれるの、てめぇだけなんだから。
父親も母親も、俺を好きだっつってくんねぇ。
てめぇが生まれるまで兄さま、ひとりぼっちだったんだ。
もう兄さま、ひとりぼっちはヤだからさ。
那智、ずっと一緒にいよう。
ふたりだけでずっと一緒にいよう。
他人は誰も彼もが俺を裏切りそうで恐い。
他人なんざ信用できねぇ。
他人は俺を助けちゃくれなかったんだ。
誰もだれも助けてくれなかった。
だけど、那智は俺を助けてくれた。
俺の弟になってきてくれた。俺の家族になってくれた。俺を好きって言ってくれた。
そんな那智を俺は精一杯守るから、兄さまの傍にずっといてくれ。



