季節は葉の色が変わる秋。
そして、今日は日曜日―。
世間は休日という曜日を迎えていたわけなんだけど、んでもって今日は俺にとって特別な日でもあるんだけど、俺等はというと朝から外に放り出されていた。
どうやら母さんの友達が遊びに来るようで、子供の俺等は邪魔らしい。
千円札を俺等に投げ渡して、「六時まで帰って来るな」いつものように命令。
機嫌はよかったのか、釣り銭は俺等にくれるって出血大サービスをしてくれた。
目が飛び出るほど驚いた。
だって千円ってだけでも奮発してくれてると思うのに…、母さん、よっぽど友達と過ごせることに嬉しかったんだろうな。
おかげで俺等は外に放り出されたけど。朝から放り出されたけど。
俺は母さんが誰からか貰ってきた子供用のお古のミニバッグを持って、同じくお古のリュックを背負っている那智と手を繋いで公園に向かった。
途中コンビニで朝兼昼食を買って、仲良く公園に足を運ぶ。
昔だったら重かった足取りも、今は那智がいる。ひとりじゃない。足取りはすこぶる軽かった。
「にいしゃ! ユラユラ! ユラユラ!」
「ブランコに乗りたいのか? あ、こら、走るなって」
公園に着くや否や、那智はブランコに乗りたいってはしゃぎ始める。
きっと母さんが傍に居ないからだろうな。はしゃぎようはまんま子供。
俺の手を引いて早く早く、那智はブランコに向かって駆け出すもんだから苦笑い。
「にいしゃ、だっこ」
「分かった分かった。いいか、落ちるなよ?」
那智をブランコに座らせて、しっかりと鎖を掴まらせると、俺はゆっくりブランコを前後に揺らし始めた。
「ゆ~らゆ~ら」
足をばたつかせる那智は笑顔で俺を見上げてくる。
嬉しいのは分かるけど、ちゃんと握っとかないと…、あ、言ってる傍から!



