「んじゃ、那智。『兄ちゃん』って分かるか?
ちょっと難しいけど頑張ってみような。
これも俺のことだぞ?」
「にいしゃのこと? うー…んとね、『に』と…、『い』と…、これと、これ」
んんん?
俺は首を傾げて、ひらがな表を見つめた。
もう一度指で俺に教えてくれないか、那智に言えば、「はい!」元気よく返事して那智はひらがな表を指差してくる。
「これと」『に』を指差して、
「これに」『い』を指差して、
「これで」『ち』…ち?
「これ!」『ま』…まぁ?
………。
兄ちま?
「あ、しゃかなしゃんのしゃだから、これ」
那智は『さ』を指差して、訂正をしてきた。
つまり那智は俺のことを…、あれ? 俺のこと、兄ちゃんって呼んでるんじゃねえのか?
目をパチクリして、俺は自分を指差した。
「俺、兄ちゃんだよな?」
「はい、にいしゃです!」
「……。兄ちゃん。治樹兄ちゃん」
「にいしゃ! はるきにいしゃ!」
「んじゃ、はるきにいちゃ」
「はるきにいしゃ!」
「………」
「ん? にいしゃ、なち、チガウ?」



