あったかい温もりに俺は涙が出そうになった。
ひとりじゃ絶対味わえない温もりがこうやって今、俺の腕の中にいる。俺の言葉に返してくれる人がいる。
それが小さな子供だとしても、俺には例えようのない喜びだった。
誰かが俺を好きだって言ってくれる。
その現実が俺の心を喜色に震わせていた。
「好きか?」俺は那智の口からもっと聞きたくて、好きかどうかを聞き返す。
「しゅき」那智は俺を見つめて、好きなのだとはにかんだ。
「にぃ、しゅき。なち、しゅきなの。いちばんなの」
好きだと繰り返してくれる那智。
俺は微笑み返して、那智の頭を撫でた。
「にぃは? なち、いちばん?」
好きかどうか顔を覗き込んでくる。
一番に決まってるじゃないか、那智が誰よりも大事に決まってるじゃないか。
じゃなきゃ誰がこんなに世話するかよ。面倒看るかよ。傍にいるかよ。
「一番だよ、那智が一番だ」
「かみしゃより、しゅき?」
どうやら那智は神さまより自分が大切かどうかが気になるらしい。
馬鹿だな、神さまと那智、どっちが大切かなんて分かりきってるってのに。
「神さまは那智をプレゼントしてくれた。でも那智には勝てない。那智が一番だよ」
「にぃ、かみしゃ、なち、くれてうれし?」
「ああ、嬉しい。那智が俺の傍に居てくれて嬉しい」
「なちね。にぃ、いっしょ。うれし。
なちのぷ、ぷれ…ぷれてんと? は、にぃなの。にいしゃ」
『にぃ』から『にいしゃ』に単語がレベルアップした。
那智ってめっさ滑舌が悪いけど、ちゃんと俺のこと『兄ちゃん』って言えるのかな。
微苦笑を零しながら、俺は那智に笑い掛けた。
那智はくしゃくしゃっと、あどけない顔で俺に笑みを返してきてくれた。



