ポンポン―。
小さな背中を叩きながら、俺は那智を抱いたまま腰を上げる。
あやすように歩き、窓辺に立つ。
紫色に空は染まり始めていた。これから夜になるんだろう。
「那智、兄ちゃんはな、夜が恐かったんだ。
いっつもひとりぼっちで…、だから神さまが那智をくれたんだ」
「かみしゃ…?」首を傾げる那智に、
「神さまはエライ人のこと」俺は簡単に説明。
子供の俺は神さまをそれ以上も以下も説明できなかった。
「神さまなんていねぇって思ってた。
でも、那智がこうやって生まれてきてくれた。俺はひとりぼっちじゃなくなったんだ、那智」
「にぃ、かみしゃって?」
チンプンカンプンだって、腫れた目をそのままに那智が首を傾げる。
四つの那智には難しかったっぽいな。
「神さまってのは、ンー…結構優しい人みたいだ。那智」
「う? ヤサシー?」
「つまり俺は那智が大好きだってことだ」
説明を端折って、大好きだって言ってやる。
好きって単語は小さな頭でも理解している。
「しゅきー」
那智も俺が大好きだって力いっぱい体にしがみ付いてきた。
たぶん、ギュって抱き締めようとしてくれてるんだと思う。



