ふたりぼっち兄弟 〜No.±0〜【BL寄り】


結果、俺は青痣を体のあっちこっちに作る羽目になったけど、那智には手を上げられなくて済んだ。

「良かった」安堵の息を漏らす俺は自室で、濡れタオルを腫れた顔に当てていた。


とにもかくにも那智に怪我なくてホッとしたんだ。


けど那智はそうはいかなかったみたいだ。

自室に戻るやブルブルッと目に見えるほど、体を震わせて、俺の体に抱きついてきたと思ったらぐずっと泣き始めて。


「にぃ、にぃ、めんね…めんね…」


「めんね」を繰り返し、俺に謝ってきてくれる。

叩かれたのは自分のせいだって分かってるから、何度も謝ってくる。


だけど那智は何も悪くない。

喉が渇いたから自分でお茶を飲もうとしただけのこと。


喉の渇きに気付かなかった俺が悪い、「いいんだ那智」お前は何も悪くないんだぞ。
頭を撫でてやれば、那智は目を潤ませて、俺の腫れた頬に手を伸ばしてくる。

恐る恐る触って擦って撫でて、


「いちゃい、とんでけ。とんでけ…」


俺がいつも転んだ那智にしてやる回復の呪文。

実際、回復するわけじゃないけど那智はそれをしっかりと覚えてくれたようだ。
俺に何度も「痛いの痛いの飛んでけ」と呪文を唱えてくれた。


ひとりじゃ絶対に掛けられなかった呪文を掛けてもらった俺は、「めんね」を繰り返す小さな那智を抱き締めてやる。

胸に顔を押し付ける那智は、ポロポロと涙を流しながらまだ俺に謝ってきてくれていた。
 

「馬鹿だな、那智は。
兄ちゃんは那智が怪我しなかった方が嬉しいんだぞ。那智には怪我、して欲しくないから。

いつも話すだろ? 俺は那智が大事だって。
ひとりぼっちだった俺をカワイソーと思った神さまが、那智って子をプレゼントしてくれたんだぞ」