ふたりぼっち兄弟 〜No.±0〜【BL寄り】



「那智が喋った! 俺の名前を呼んだ!」


童話本を放り出して、俺は那智を抱き上げるとその場でぐるぐるっと回った。

キャッキャ笑う那智に頬を寄せて、「那智が喋った」しかも最初の言葉が俺の名前。

嬉しくないわけなかった。


パパやママでもなく、俺の名前を呼んでくれた。


嗚呼、こんなに嬉しいなんて!


やっと那智が喋ってくれた、将来も安心だ。

だってあの那智がやっと俺の名前を……って、あれ、これじゃあ俺、那智の兄ちゃんじゃなくて親だな。


まあいいや、実質、俺が殆ど那智の世話看てるし、俺も苦だと思わないしな。



「那智が『にぃ』って呼んでくれた。ははっ、可愛いの」


「うー?」


「うー? じゃなくて、俺はにぃだぞ。にぃーちゃん」



キョトンとした目で見上げてくる那智は、ん? っと首を傾げてくる。


「にぃ?」呼んでくる那智に、


「何だ?」俺は一々返事を返してやる。



少しでも言葉を覚えてくれるように。