それからはヘーワな日々が続いた。
相変わらずお母さんに怒られたり叩かれたり蹴られたりする毎日だったけど、あと少しでひとりじゃなくなるっていう思いが俺を強くした。
どんなことがあっても、前みたいにグズグズ泣いたりすることはなかったし、泣く回数も減ったし、寧ろ泣かなくなったし。
お母さんもお腹が大きくなっていくと、前みたいに叩くことはなくなった。
ソレは俺にとってありがたいこと。
だって痛いの嫌いだし。
ただ悪阻(つわり)ってのがきついみたいで、辛い度に俺に荒々しい口調で命令。
部屋の片付けやら布団干せやら物を取って来いやら、よく買い物をさせたけど、ちっとも嫌じゃなかった。これも兄弟のためだ。
その内、お母さんが赤ん坊のセーベツを教えてくれた。
下の子のセーベツは男の子、つまり俺に弟が出来るわけだ。
男でも女でも構わなかったけど、どっちかっていうと一緒に遊べることが多そうな弟が欲しかった俺は、この一報に目一杯喜んだ。